点に中心はない。
物理学的に
「点が存在する」
と定義された空間でも、
点は面積や体積を持たない為に
点は「存在するもの」の概念を持てないのだ。
そして点と点とを繋いだ線にしても
厳密には固定値としての存在はなく、
これは点と線で形付けられた面積や
体積の概念においても同様である。
現実世界と数学では
ここに大きな相違がある。
世界が「存在しない無」として存在する以上、
全ての存在する概念が「存在しない無」と等価で
同じものとして存在するのは明白の事実なのだ。
ここに空間は無と等価であり
「揺らぎを持つ」という事実が先行する。
次元理論においては、
最初に4次元「時空」(物質概念のない世界)より
原子(5次元世界の起点空間)を切りだしたのは
空間のゆらぎ「時間波」である。
そしてここに創り出された物質は、
今度は自身の重力によって次なる原子の誕生を加速し、
物質世界全体の広がりは支えられていく。
これが「空間の重なりが物質」だという、
新しい宇宙理論である。
しかしこの章での問題は
「なぜ時間波という空間の波が空間の重なりを生むのか」
という疑問である。
4次元時空における時間波は
おそらく宇宙で一番ちいさく、
正確な「波形」である。
しかしその「波形」によって
空間に重なりが生じるということは、
この時間波の「波形」の全ては
「完璧に同じものではない」
という事実を示している。
空間に「ゆらぎ」を生みだす以上、
時間波とは文字どおり空間の「波」である。
そこで空間には波紋としての「空間密度の変化」が広がる。
それが次元理論でとらえた「流れる時間」であり、
「永遠に連続する空間」の無の概念である。
流れる時間という「空間のゆらぎ」と
「連鎖する空間」が引き起こした「時間軸に対する存在のぶれ」。
これはいかに正確な時間波といえども、
全ての空間を完璧に均等間隔で区切ることは
不可能ということを示している。
実際問題として「波形」には、
「波の頂点」と「谷底となる部分」が必要である。
けれどもこの「それぞれの一点」は、
じつはこの世界の「どこにも存在しない一点」なのだ。
これはたとえば「物差し」を手もとに置き、
ある「一点」を探すことにする。
この一点を物差しのある目盛り(点)とし
そこを電子顕微鏡で拡大してみると、
そこにも完全にここが「点」だと断定できる部分が
果たしてあるだろうか。
これは最終的には、原子の地平線に舞いおりて
足もとにあるさらなる一点を探しつづけるという、
いわば終わりなき作業である。
そしてそのことが1次元概念における「点」が
「無」である所以でもあった。
この「存在しない点」を
記号として「存在させてしまう」のが数学であり、
これまでの科学的思考の限界である。
つまりたとえ時間波という「正確無比な波」が
世界を均等に分割しようとしても、
どこかの地点で時間波は必ず
「概算」として働く以外に方法はないのだ。
そのために時空世界における
数千、数万㎞という空間距離では
その誤差はほとんど現れないかもしれない。
けれども無限大につづく空間宇宙では、
時間波はいつしか存在しないはずの空間を分割してしまう。
「同じ時間波」が「同じ空間」を区切ったはずなのに、
そこに創りだされた「異なる空間」の出現。
あるいは「存在しない時間」。
そこに「空間のゆがみ」として
「空間の重なり」が生じた結果、
時間波は新しい弾き出された次元世界の概念「最初の原子」を誕生させる。
もしも全ての「時間波」が完璧に同じだったのならば、
我々の宇宙もまた
現実には存在できなかったはずである。
ということは当然、時間波によって生みだされた
次なる次元世界の起点「原子」においても、
我々には認識できないほどの「わずかな違い」は生じる。
「原子」というひとつの5次元世界に閉じこめられた
「時間波の生みだす原子振動(ゆらぎ)」が、
完璧に一致するものではないという現実が
ここでの証明である。
つまり新しい世界を創造するのは最初から
「同じもの持つわずかな違い」のみである。
こうして異質で他の「同じもの」とは異なる
「ゆがみ」から新しい世界は創世される。
それは「点が存在しない」ことから始まる。
生命世界、精神世界と次元世界が昇華するにつれて、
この「次元世界の起点」のもつ「わずかな相違」は
より顕著である。
存在しない同じもの。
存在出来ない同じもの。
そして4次元時空においては
時間波のもつ「わずかな相違」が
新しい5次元宇宙を創造したように、
各次元世界の起点がもつ「わずかな相違」、
これこそが命の石であり、進化の秘宝であり、
自我世界の創造までをも成しとげた
「新世界誕生の要因」である。
そして第8次元「自我世界」においては
「次元世界の起点の持つわずかな相違」、
これこそが全ての我々がもつ「個性」なのだ。
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