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2020年3月10日火曜日

(連載12)12-4精神世界の重力





物質世界においては、
物質が自己を形成し物質どうしが引き付け合う根本的な作用は
重力(同じものとしての核力)であった。

これが生命世界では
生命の自己形成、生命の引き付け合う根幹として
本能である。


このように原子が原子を引きつけて、
命が命を引きつけたように、
精神世界もまた
他の精神世界や別の次元世界と引きあうための力
即ち「精神世界の重力」を持つ。


では精神世界における
「精神世界の重力」とは一体何だろうか。



それが「欲求」である。



もちろん精神世界の発現自体が
生命世界の重力(本能)にも含まれている。




好きと嫌い、快楽と不快感、渇望や恐怖などの
「あらゆる感情の狭間」に精神世界は浮かぶ。

この感情の浮力によって精神世界の持ち主は、
他の次元世界ともつなげられていくのだ。



ではどのようにして「感情」は
精神世界にもたらされたのだろうか。


それは精神世界が「失われる記憶」であることに由来する。


刻々と変化する自然環境に合わせて
様々な生命が瞬時に適応していくためには
古い記憶は消えさらなければならない。
新しい世界とは記憶の中には無い世界である。

あるいは誕生したばかりの生物の認識力では
わずかな記憶に頼るよりも感情による先導の方が正解である。


激しく変化する環境だからこそ
記憶は失わなければならない。
「記憶が失われる」ためにこそ、
感情をともない「認識する」という本能は生まれる。


このように自己完結の記憶からくる判断ではなく、
生命体としての経験が導く解答、
これが精神世界の重力「欲求」である。


だからこそ精神世界は「認識する本能」であり、
そこに「判断する意思(欲求)」は生まれる。




次元理論によって
精神世界発生のメカニズムもある程度推測できる。

ここまでの次元世界の等価性から導かれる結論として
脳は重なり合い融合した神経器官である。
その為にそこに失われた神経系統を創り出し、
その中で孤立する。

こうして脳は、
神経に対する欲求を持ち
全身の感覚を自らに引き寄せるのだ。

まさに脳内が核力であり、
全身に張り巡らせた神経網が
等価として成立する重力である。


ここに「認識する本能」精神世界は誕生する。





生命世界における生物たちの「求める力」は、
命のお互いに引き付けあう本能として
生命世界の「重力」であった。


精神世界も命の次元世界へ含まれる為、
当然この本能にも支配されている。


けれども精神世界は、
この「本能」にもさらなる多様性を与え、
生命の次元世界そのものを広げながら、
同時に精神世界としての可能性も広げている。



これはたとえば草食動物たちの姿を
思いうかべていただきたい。

彼らは草をはみ、そして外敵からは逃亡する。

この草をたべるという行動は本能であり、
彼らの生命活動には不可欠な行動である。


しかし彼らはその事を好み、
快楽として感じ、欲求として欲する。


ところが外敵を発見すると途端に
その意識は欲求を打ちきり、
ただちに危険回避行動へと切りかわるのである。

これもあるいは、別の本能である。

けれど彼らは、外敵の存在には恐れをなし、
追われることに恐怖や怒りを覚えるのだ。



つまり本能世界が、
精神世界を伴うことによってあたえられた「選択肢」。
そこに生みだされて、
その先にまでつながる「多様性」。
その「可能性」を求めてこそ、
生命世界は精神世界を構築したのである。


これは精神世界が生命世界を構築したと捉えるのと
全く同じ事である。


このように生命世界拡大の目的「多様性」は、
そのままで「命の可能性」と同じものである。


さらにここで重要なことは、
同じ「好き」や「嫌い」の感情であっても、
生物によっては目的とする対象物や
手段が全くことなる点である。


すなわち精神世界の存在は、
本能の欲求へと向かう「選択肢」を広げ
同時に精神世界の「可能性」、
あるいはその「多様性」をも拡大させる
生命世界の新たな根幹である。



そのために彼らは、
より豊かな草原を求めるために、
あるいは外敵を遠ざけるために、
様々な「進化」をとげていく。



結果として精神世界は、時に本能世界をのりこえて、
そして時に本能世界によりそいながら、
生物の命題である個体拡大の原理や種族拡大の法則を
より確かなものへと展開させたのだ。


生命の多様性のために求められ、
さらなる多様性を育む「精神世界」。

そして精神世界の多様性によって、
さらなる革変を求められる「生命世界」。

このように「相互の次元世界の共有」は、
あらゆる次元世界のその間に発現する。



すなわち種族保存の法則も、
本来は種族「拡大」の原理である。
そしてそれは物質世界の質量「増大」の原則が、
生命世界の同じ次元原理として発現したその結果である。



したがって精神世界「第7次元世界」は、
本能である「第6次元」によって生みだされながらも、
同時に生命世界「第6次元」の命題「生物の多様性」をささえる
命の先導者である。



ここでいう命題とは、次元世界が共通項としてもつ目的
「広がりつづけること」である。


それが各次元世界において発現するときに、
様々な呼び名があたえられ、
我々が原理や法則として認識する現象へと変わったのだ。



もしもかりに「次元原理」に質量「保存」の法則しかなく、
世界に種族「保存」の法則しか存在しなければ、
この世界には様々な元素が創りだされることはなく、
原子がエネルギー(空間)として変換されることも
起こらなかったはずである。

そして生命世界に多様性はなく、生き物たちに進化はなく、
ほんのわずかなきっかけで
生命世界はすでに失われていたはずである。


次元世界が「拡大し、創造する」ためにこそ、
物質や生命もそこに新たな「多様性」を出現させる。


そしてあらゆる「実在する無の概念」の根底には、
必ず「変化すること」がその前提として存在したのである。

それは「全てが存在しない」ことなのだ。

すなわち次元世界には、
変化のない「次元世界の起点」は存在しない。


これが「存在の本質」が力学であるその理由である。



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